或る光栄

In case of die.

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愛犬ララとの想い出①

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2003年の9月、お前は生まれた町、会津若松市から貨物トラックに乗って、当時わたしが住んでいた横浜にやって来た。

 会津の鉄錦号と言う立派な名前が、本当のお前の名前だ。

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 ひょうし抜けするくらい小さな箱にいれられて、お前は箱の中で小さくか弱いウンチをしていた。

 

 わたしの手前勝手な都合で母犬から引き離されたお前は、わたしが寝室に用意したケージに無造作にいれられて、その晩は一日中啼いていた。


 甘えん坊だから夜啼きをしばらくするかも知れないと、前もって犬舎から申し送りされていたけれど、お前は一晩だけ啼いて後は静かに現実を受け入れたかのようだった。


 1日目、会社から帰るとペットシーツを雪礫のようにバラバラに食いちぎり、その雪のような屑の中にお前は居たね。


 当時はクルマで現場に向かう事が多かったから、一緒にベンツ300TEで現場に向かうと、身体の預けようの分からないお前は車酔いしてしょっちゅう吐いていた。


 最初から、わたしは良い飼い主ではなかったと思う。

 

 なにも深く考えずにララを家に連れて来て、三ヶ月程度のお前はスパルタ気味にわたしから仕込まれて行ったのだった。


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 ララがイブのこの日。

 8月に小腸腺癌の摘出手術をして、その後奇跡的に回復して元気になり4か月あまり。

 具合悪くなって救急病院に連れて行ったら腹膜にがん細胞の転移があちこちにあり、余命一ヶ月程度と診断された。


 お前がいつまでわたしと一緒にいられるのかは分からないが、しばらくお前の事を書いていこうと思う。


 頭が真っ白になったり、涙が出たり、お前は入院先で生きているはずだが。

 お前のいない、ひとりで暮らすには広過ぎる家の中はがらんとして、特になにがどうということはないが。

 自分を半分失ったかのように寂しい。


 これから苦しさを垣間見るお前の仕草を想像するだけで、頭がおかしくなるほど、おれは動揺し受け入れたくない現実から目を背けたいとも感じている。


 そして、まだ覚悟は出来ていない。


 なに食わぬ顔、痛みを表現出来ない生き物だけれど、仕草に鈍感でいる事が不可能になるほど、お前とおれは、いつもどこへ行くにでも一緒過ぎた。


 環境の変化を与え過ぎた。

 でも、一緒に過ごすことだけがいつまでも有無を言わさない他に余地なき選択肢だったように思う。

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