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或る光栄

In case of die.

ブログに綴っている内容は勤務する企業とはいずれの関わりもありません

原子力発電所 再稼働のゆくえ

  水道屋さんでの学生バイトから社会でのキャリアを始めた私は、何度かの転職経験の後に今の会社に勤務している。

 月に数度は大手新聞社へ見出し広告などを出している上場企業である。テレビでのスポットは打っていない。業界二番手の地味で堅実な企業色だ。

 このあたりの事を昔からの知人に話すと「水道屋のおにいちゃんだった君が」「まぁ言ってみればあの会社からよくも」「頑張ったんだね」「いろいろ苦労したんだろうね」と大概は感嘆と驚愕の声に迎えられる。

 わたしは自分が為してきたことをなにか特別な事とは思わないし、社会人としてのキャリアがどんなにか小さな会社であっても腕さえあれば一発逆転可能なのだよと、今の若い社会人たちに声を大にして言いたい。

 要はその場その場で満足せずに、一心不乱に仕事へ打ち込め、そのうえで今の境遇に満足できないなら上を目指してゆけ、と言う事なのだ。

 

 絶対に諦めるなよ。

 ハナから大手に入って後は中小に落ちていくような人生よりもなんぼか楽しみ甲斐のある人生だと言えよう。

 

 枕が長くなってしまった。

 ところで現職の会社は原子力発電所にも多大な関与をしてきている。

 原子力発電所には沸騰水型原子炉(BWR)、圧力水型原子炉(PWR)の二つが国内では稼働しているが、現職では沸騰水型原子炉への海水淡水化技術で大型装置の納入を生業の一つとしている。

 建設が盛んだったころ、稼働時での売上規模は担当部門で約300億程度はあったのだと思う。

 具体的には復水脱塩化装置(コンデミ)を中心とした大型装置を国内沸騰水型へは実に90%のシェアで納入してきている。

 どこかで原子力発電所の建設が決まれば途端に株価が上がるといった具合の、間違いなく原子力ムラ住民企業の一つに数えられる。

 

そのような企業の中で、何の因果かわたしは3.11以降放射線管理の業務執行をしている。

 特段の感情は無い、ひとつの仕事の種類としてロボットのようにこなしている。

 そして時々は原子力発電所へ行って現況視察のような事も行ってきている。

 現在も異常な状態なのは福島第一原発(1F)だけなのであるが、世間の風当たりは柏崎刈羽のような元々クリーンだった発電所にも影響を及ぼしていると言えよう。

 

 名前は出さないが、原子力発電所単位でもきれいだったり汚かったり一回入っただけで相応な線量を被ばくするところなんかもある。ただしこれは厳重に管理された線量なので、すぐにでも数十年後にでも生死に関わるような事態は通常あり得ない。(管理単位はmSvミリシーベルト)。

 現在非稼働時の原子力発電所での被ばく線量は、1Fを除きX線技師や国際線のキャビンアテンダント、パイロットと同じような放射線被ばく線量だろうと言えば分かりやすいだろうか。

 稼働時に突如として被ばく線量が増大するわけではないが、稼働時リスクと言うものは当然ゼロではない。

 

 さらに3.11以降は規制委員会から電力会社(特に東電へ)への管理通達が頻繁に示達されており、日増しに管理についての細則が増している。

 

 原子力発電所に関与する企業の従業員として、原子力発電所の再稼働について率直に意見を述べたい。

 

 端的に言えば、稼働は不要であると言えよう。

 

 

 なぜなら電力が足りているから。

 3.11以降、総合家電メーカーが頑張って高効率省エネ家電を多く開発し生産してきた。買い替え需要の度に省エネ化は進み、電灯の類もLED化が進む、大幅な省エネが実施されてきている。

 ユーザーの立場からすればいま現在も原子力なしでなんとかやっていけているのであり、毎年のように真夏日の日数を更新している中のピーク時もなんとか石炭火力やガスタービンでやり過ごしている。

 

 電力会社やそれに関与する立場から見ると、「遊休施設化」した原子力発電所をなんとか稼働させたい。これは悲願なのだと言えよう。

 遊休施設化しているからと言って、その期間が法令点検、定期修繕保全などの年限から除外されることは無く、非稼働原発では今も必要なメンテナンスを繰り返している。

 管理人員や管理費用が大幅にコスト削減されるわけではなく、稼働時と変わらないような人モノ金が動いている。

 だから一日でも早く稼働したいと考えるのは、一企業としては当然の考え方になる。

 圧力水型は緊急時の設備である「ベント」設置要件に当たらないので、圧力水型から徐々に稼働を始めていくのであろうと言うのが大方を見まわしての大勢だ。

 

 わたし個人は、動こうが動くまいが生活に大きな支障はきたさない。

 なぜなら東京に住まいを持って生活しているからだ。

 東京が放射線に汚染されるようになったら、その時は本当に日本の終わりだろう。   

 日本の終わりなのだからその時は無力、だまって傍観するだけだ。

 

 現在稼働を進めようとしている地域はまずい。

 まず国を挙げての緊急避難経路確定や避難先の確保が出来ていない。

 市町村も交付金目当てだからかその点の議論を積極的に推進しているとは言えない。

 まして原発頼みのトウチャン・カアチャンが多勢なら、「とにかく早く原発を動かして欲しい」と言う本音すら聞こえてくる。

 1Fの教訓などすでに忘れ去られようとしているのか、或いは稼働を推し進める地域では対岸の火事であるかのような対応が悲しい。

 

 日本の原子力安全、日本の安全対策全般と言うのは「事故が発生したらどうするか?」と言う対策しかなされていない。すぐに再発防止再発防止と、原因究明原因究明、安全教育安全教育安全教育と騒ぐけれど。

 要は大陸にあるフランスのように「絶対に事故が起きない」「絶対に事故を起こさせない」と言う設備を構築していけば良いのである。

 建設コストは相応にかかるだろう。電力料金も上がるだろう。そこまでしてやるか?という事だ

 稼働させたい側は、そこまでやる気があるのか?という事を皆で問うていくべきなのだろうと考える。

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