毒を持って毒を制すー映画キューポラのある街
主演吉永小百合の映画がCSで流れていたので観た。
小学生の頃に体育館で観た以来で、内容はよく覚えていない。
今回初めてまともに観た。
川口市の鋳物工場、こうばと発音したほうが正しいか。50年代の話しで、戦後の貧しい時代背景が色濃い。
まあとにかくヒロイン吉永小百合の周辺が悲惨。
ろくでなしのトウちゃんは請負の鋳物職人で、定額日給ニコヨンでやって来る安い人工の半端職人に蹴落とされ気味だ。
また朝鮮人差別もかなり大っぴらで、安い賃金のものが、やがて主流を凌駕していく様を含めて今昔庶民を取り巻く社会問題は変容しない。
青春スター浜田光夫もろくでなしで出演。
ろくでなしのトウちゃんは、なんとのちの水戸黄門東野英治郎だ。
私は川口市に周りを囲まれた鳩ヶ谷市里で生まれ、3歳まで過ごした。
本当なら記憶にないはずなのだが、幼少期から鳩ヶ谷時代の事を夢枕に見て、大人になってから数回鳩ヶ谷の旧宅へ(家の前まで)様子を見に行ったりした。
祖父が両親に、行く先の暗い鳩ヶ谷を出て、東京に行きなさいと言い鳩ヶ谷宅を購入して四年で東京に出て来たらしい。
祖父は当時800万円を用立て、両親の東京出を支援。俺もそんかきっぷうの良い親の元に生まれたかった。笑
鳩ヶ谷は数年前に鉄道が来るまでまさに陸の孤島で、祖父の判断は正しかった。
鳩ヶ谷宅の近所に武南があるので、もしかしたらそこでサッカーをしていたかも知れないな、と考えるだけで埼玉自体に愛着はない。
川口は今でもマンホール(高級、官需仕様)などの鋳鉄製品を世に送り続けている。
この映画では未舗装路の川口オートが出て来たり、文化継承的にも貴重な作品である。