或る光栄

In case of die.

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今晩 酒場のその子

  冬もよいの街角の酒場。

 わかりやすく目当ての女の子に執心な男と、単なる友達なのかなんなのかよくわからない女の男女二人組。

 

 酒場で働いているその子にしきりと酒をすすめる男。

 女は可愛い可愛いとその子を褒めている。


 しばらくして店の責任者に客からの相伴について許可をもらったその子は、自分で酒を作って男のテーブルまで持って行ってわたしの背中越しに愛想ばかりの乾杯。


 男はその子の名札を指差して、どんな字を書くのか聞いている。儀礼的にメモ用紙に書き込んでいるその子。

 そして男は自分の名前がその子と一字違いだと晴れ晴れしく告げている。

 

 その子はほぼ間髪いれず、その名前はわたしの彼と同じ名前なのだと愛想たっぷりに話し出す。


 果たしてギザギザハートの男と関係性のよく分からない女は五分も経たずに勘定して店を出て行った。

 その子、つまり彼女がブラフをかましたのかどうなのか真相は知る由もないが。

 男はあっけなく撃墜されたに違いない体裁。

 結果を焦るあまり  なのかどうなのかは分からないし知りたくもない。

 

 それにしてもマニュアルにある通りなのかその子の処世術なのか、見事な切り返しをひさびさに見た思いだった。


 自分があの男だったらどうしていただろう  って仮説は成り立たない。

 シャイなわたしは他人の目のある空間で色恋を語るなんてありはしないのだから。

 ふたりの時間がつくられないかぎり、それはそういうことなのだから。

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